霊感なんてあまり信じてなかった話12
それからは少し日にちを空けて。
その間には、本業の方にも戻って仕事をして。
12月24日(日)のクリスマスの日なら……と不動産業者から打診があり、見に行かせてもらうことが決定した。
大学から2駅電車に乗ったところにある駅。
私の知っているお店も景色も、どれもが少しずつ変わっていた。
当時、家賃39000円という都内、急行が泊まる駅としては破格のボロアパート。
2階建てて、その安さからよく分からん言語の外国人が大半住んでいた木造の建物は今も残っていた。
不動産業者「で、▲▲号室のお部屋ですと、今は入居はされていないですね。」
俺「そうですか。すこし見させてもらってもいいですか?」
不動産業者「よければ中も見ます?」
昔と変わらない、個人のその業者の人は。
そう言って、扉を開けてくれた。
あぁ、、
懐かしいな。
6畳の部屋と狭いキッチンがある廊下。
この時代に不釣り合いすぎるバランス窯のお風呂。
設計ミスったとさえ感じられる、大きすぎるくらいの窓。
家具などはないが。
栞さんと住んでいたその部屋があった。
押し入れの襖を開けると、昔ながらの2段構造のままだった。
1段目に布団と収納ボックスを入れて、
2段目には突っ張り棒で服を干していたっけ。
そんなことを思って少しかがんでみると、2段目の裏の奥の部分に白い紙のようなものが挟まっているのを見つけた。
俺「ん?なんだこれ。」
不動産業者「どうかしました?」
俺「いえ、なんか…紙みたいのが挟まっているみたいなんで、ちょっと潜ってみていいですか。」
不動産業者「下段は狭いので、頭気を付けてくださいね。」
そうして、下段に潜ってその白い紙に手を伸ばすと、B5くらいの紙が小さく折りたたまれたものが出てきた。